読む、書く

いやはや、素晴らしい本を見つけました。

ラクして成果が上がる理系的仕事術 (PHP新書)

ラクして成果が上がる理系的仕事術 (PHP新書)

この本は、いわゆる「知的生活術」もの*1ですが、今まで読んできた中でピカイチです。この手の本は腐るほど(単に僕はもともと腐っているという節もありますが)読んできましたが、その時間は何だったんだという思いです。悔しすぎて本当は紹介したくなくなるくらいオススメ。これは!と思う部分をチェックして引用しようと思っていましたが、あまりに勉強になる箇所が多すぎてとても紹介しきれません。今すぐ本屋に向かうことをオススメします。
著者は「オリジナル」と「クリエイティブ」を区別し、前者は誰にも真似できないような「デカルトアインシュタインがたどりついた大発見」で、後者は「そうした過去の情報や知識を組み替えて、ほんのすこしだけ新しい装いにしたもの」だと定義します。本書はまさに「クリエイティブ」な本であり、先人たちが考え出したアイディアを網羅的にまとめ上げ、一つのシステムとして提案しています。ありがたく頂戴することにしましょう。


ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法 (PHP文庫)

ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法 (PHP文庫)

実は上の本を読む前にこちらを読んでいました。わずか一時間前のことです。「うわ、勉強になるなあ」と思っていたことはほとんどすべて、上の本に書いてありました。重複しない箇所で「ほほう」というものをいくつか引用しておきます。

私は、インタビューをする時に、メモを取ります。
ただ、全部を書き残すことはしません。
勿論、被取材者が云うことも書きますが、それよりも私は、そこで「考えたこと」を書いていきます。つまり、話し手の印象とか、雰囲気からはじまって、その話についてどう思うか、その情報のもつ意味は何かということ。
というのは、自分の文章として再構成するときに一番大事なのは、往々にしてそういうことだからです。(pp.126-127)

子規は、好んで「理想」と「写生」という言葉を対比しました。
[……]
この二つを並べた時に、正岡子規は、「理想」が月並平凡であり、「写生」は多様多彩だというのです。
[……]
「理想」は、一見現実の拘束を受けない自由を楽しんでいるように見えて、実は既成のイメージなり、パターンに強く拘束されているのだ、と。それは、勝手気儘なように思いながら、むしろ思っているからこそルーティーンの奴隷であり、出来合いのイメージの規制を受け、さらには凡庸さから抜け出ることができない、ゆえに「月並」なのだと。(pp.140-141)


すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

おなじみ日垣隆の新刊です。種明かしをすると、上の二冊はこの本で紹介されていたのでした。この本でいちばん役に立ったのは、この二冊を教えてくれたことです。それ以外にはそんなに新味はありませんでした。残念ながら。

*1:渡部昇一『知的生活の方法』や板坂元『考える技術・書く技術』(ともに講談社現代新書)とかね。