遠い日

9年前の今頃、僕は札幌の高校でなんやかやと楽しい日々を過ごしていた。あの三年間は、疑うことなく僕にとって幸福な時期だった。
だから何だというわけでもない。ただ、そんな日々があったなあということをふと思い出したに過ぎない。
過去というのはどこにあるのだろう。記憶? そうであるならば過去というのは現在にしか存在しない。過去など、現在をおいて他にどこにもないということになる。確かにかつてそこにあったはずの過去。触れることも戻ることもできない過去に思いを馳せようが馳せまいが、時間は無情に過ぎる。