勢古浩爾

勢古浩爾の『ぶざまな人生』読了。勢古は1947年生まれだから僕の3回り上なのだが、言葉の感覚はずいぶんと自分に近いものを感じる。…と思っていたが、単に僕が勢古から影響を受けただけの話。僕は勢古の熱心な読者で、ほとんどの本を読んでいる。そんな中から、何冊かを紹介。

ぶざまな人生 (新書y)

ぶざまな人生 (新書y)

わたしという一個の存在にもし「意味」があるとするなら、それは他人にとっての「わたしの意味」であるほかはないだろう(p.24)。

という一文に深く同意する。本書で勢古が提示する生き方は、以下の通りである。

一生懸命、生きる(p.31)。
あとは、なるようになる。なるようにしかならない(p.31)。
事は生じる。命は運ばれていく(p.33)。
それでも、自分の意志で「自分の人生」を生きていく(p.34)。

最も重要なのは最初の「一生懸命、生きる」である。この一言に尽きる、と勢古は言う。「一生懸命」でなければ、「自分の人生」を生きることにはならない、と言うのである。
勢古は吉本隆明に強く影響を受けていることもあり、シンプルかつ力強い。しかもこのシンプル、というのが今時の安っぽい「シンプル」ではないのだ。ロハス、とかさ。吉本の影響と言えば、この本を外すことはできない。

生きていくのに大切な言葉 吉本隆明74語

生きていくのに大切な言葉 吉本隆明74語

少なくともamazonに在庫はないようだが、この本はいい。吉本の言葉のセレクションおよび勢古による解説に全く疑問がないわけではないが、それを措いても非常に読み応えのある、味読するに足る言葉が集められている。僕はこの本を何度読んだか知れない。僕の考え方は、勢古を通じて吉本隆明に非常に影響を受けている。
勢古の近著がこちら。
アマチュア論。

アマチュア論。

「世間はプロプロと騒いでいるが、どこにもプロなんかいないじゃないか。そんなものより、よき人間たるよきアマチュアたれ」というメッセージの本。確かに、もうプロという言葉には拭いようのない手垢のついた感じがある。
上掲書の中で紹介されていた本で、今後読みたい本のメモ。

単純な生活 (講談社文芸文庫)

単純な生活 (講談社文芸文庫)

空飛ぶタイヤ (Jノベル・コレクション)

空飛ぶタイヤ (Jノベル・コレクション)

不撓不屈〈上〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈上〉 (新潮文庫)