中村俊輔

僕は言わずとしれた中村俊輔ファンであり、そのプレーを見るために日本代表戦は欠かさず(携帯電話で)観戦している。スカパーなり何なりが観られる環境であれば、セルティックでのプレーも観ていることだろう。

察知力 (幻冬舎新書)

察知力 (幻冬舎新書)

上掲書からの引用をつらつらと。

彼は、自分のできることの「引き出し」を増やすという意識で常に練習・試合に臨んでいる。

自主練習も、ただやるだけじゃなくて、テーマを設定して、「今週はこういうことができるまでやろう」という風に順序だててやった(p.23)。

(……)次のステップ、次のステップへと気持ちがはやるあまりに、今までやってきたことへの意識が薄くなってしまうこと。そうなると、せっかく築いてきた力も、崩れてしまう怖さがある。だから、「今までやってきたこと」と「今できること」をしっかりとやったうえで、それに肉付けをするイメージで、次のことへ挑戦しようと考えた(p.124)。

どんなことであれ、体験を重ねさえすれば、引き出しは増やせるはず。/しかし、体験しただけじゃ引き出しは増えない。その体験を未来にどう活かすか、足りないことを補い、できたことをもっと磨く。そういう意識がなければ引き出しは生まれない。体験は引き出しを増やすきっかけでしかない(p.62)。


中村俊輔は、自分の考えたこと・感じたことなどをノートに綴り、ことあるごとに読み返しているという。

気持ちを切り替えてきた過去が、サッカーノートを見るとわかる。/モチベーションが下がりそうになったとき、イライラしたりする時間がもったいないから、ノートを見るようにしている。そうすると、読むだけで「ああ、そうだよな」という感覚が戻ってくる。文字を追っていると、当時のことが蘇ってきて、気持ちを切り替えるきっかけというか、自分への勇気づけになることも多い(p.45)。


壁にぶち当たったときの、俊輔の考え方は以下によく表れている。

難しい状況に立ち向かい失敗し、「中村、ヤバイんじゃないか?」という状況になったとしても、そういうときは課題が出たということだから、「課題が見つかったぞ、よかったな」と僕は感じる。その課題を拾って、また考えて、練習すればいいと。/そうすれば、失敗も糧となる(p.82)。

試合に出られない、チャンスが来ないとなれば、誰だって、気持ちが落ちる。でもそういうときにこそ、踏ん張らなくちゃいけない。落ち込んで、くさってしまえば、オーラは消えてしまい、存在感が薄れ、ますます出場チャンスから遠のくことになる(p.94)。


また、彼は周囲のせいにしない精神力をも持っている。人が何かをしてくれないからと言って、それを言い訳にしない。その代わりに、

自分を周囲に理解してもらえる状況を作る(p.116)。

のが肝要だと言う。また、

他人を妬んでいる人は、伸びない。自分の足りない力を分析せずに、他人を妬んでいても意味がないのだ(p.152)。

というように、あくまで「自分が何をするかが大事」という一貫した姿勢を保ち続けているところが、僕が俊輔を尊敬するところである。
俊輔のようにはなかなかなれないかもしれないが、こういう男を目指していきたいなあとは思っている。