西加奈子

さくら

さくら

どこで見つけたんだったか紹介されていたんだったか忘れたが、気の迷いで購入。
高熱の中で読んだせいかもしれないが、ぐっと来た。吐き気ではない。テーマやあらすじだけ取り上げると、ずいぶんとありがちで流行りを組み入れただけになってしまいそうだが、そう読ませないのは丁寧な、易しく優しい語りによるものだろう。
人を愛するということが含む陶酔と暴力とを、過大でも過小でもなく描く。本来的には家族というものを描いた小説なんだろうが、兄弟も姉妹も犬もいない家で育った自分はそう受け取った。