カフカ

断食芸人―カフカ・コレクション (白水uブックス)

カフカの生涯

フィリップ・ロスの"'I Always Wanted You to Admire My Fasting'; or, Looking at Kafka"という奇妙な短篇を読まなければならず、必要にも駆られてカフカの伝記なんぞを読んだりしました。池内紀の手になるこの伝記は、事実と推測とを慎重に区別し、必要以上にカフカに肩入れせず、それでいてカフカへの愛情に溢れた素晴らしい作品です。
はっきりしたことは、カフカの小説はどれも、カフカについての話なんだなあということです。小説にあらわれるテーマやモチーフはほとんど全て、カフカに降りかかってきた（または自ら招いた）出来事を想起させるものばかりです。
作家によっては、伝記的事実を知ることに大した意味がないこともありますが、ことカフカに関しては違うと言っていいと思います。カフカに興味のある方はぜひ読んでみてください。