日垣隆

急がば疑え!

急がば疑え!

雑誌『エコノミスト』のコラム、「敢闘言」を単行本化したもの。『敢闘言』(文春文庫)の続編。一ページ一コラムという形式なので、細切れの時間に読むといいかも。といいつつ僕は一気に読んでしまった。
情報系 これがニュースだ (文春文庫)

情報系 これがニュースだ (文春文庫)

論座』か何かの連載を単行本化したもの。コンピュータ関連のものは今読むと懐かしい限りだが、それ以外はとてもおもしろい。そうか、ジャーナリズムというのはこういうものなのか。ウェブサイト*1じゃなかった、メルマガを単行本化したもの。男による買い物日誌というのは珍しい。本筋とは関係ないが、49ページ以降の、日垣隆の娘さんのメールがいい。なので『父親のすすめ』も読んでみることにする。勉強になった箇所を引用。

このような人生上の大きなテーマは、たぶん私のなかに限っても“解決”することはないと思います。死生観や世界観、あるいは死刑についての思考と強くリンクするような壮大なテーマは、解決よりも、問題を抱え続けるということ、折にふれて引き出して考えてみるということが、とても大切なのではないかと実感しています。(p.101)

「考え」が空回りするか、それとも使える結論が引き出せるかの違いは、ただ一つ、有効な新しい仮説が立てられるかどうかにかかっているのです。(p.179)

諸先輩のよきノウハウはどんどん学び、かつ盗むべきですが、直面したテーマで「納得できない」ことが一つでもあったら、とことん調べる。それが基本中の基本だと思います。(p.186)

ある本を読む。その本は、どのような点が優れているのか。そもそも、書かれている内容は事実なのか。どこがオリジナルで、その欠点は何か。読み手である自分にとって、応用できる視点や素材は何であり、次に何を読めばよいのか。これらを、現在の自分との距離を推し量りながら定位するのは、評価力です。もちろんその意味で読書は、文字通り「おのれを知る」仕事だと言えます。世界と自分との往復運動を自覚的に定位できなければ、「おのれを知る」努力は空回りになります。
[……]
取材は、おのれを知る仕事そのものです。他人の行動や、他人の言説と体験(の言語化)を取材するのは、おのれを知るという自覚がなければ、例の5W1H(いつ、だれが、どこで……)に即した短い三面記事しか書けません。まあ、それも日々のデータベースづくりとして大切な仕事ですが。(p.205)

知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る

知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る

新刊。

何かについて「考える」というのは、「当面の答えを出す」に至る道程のことです。そうして、「考える」を最も効率よく深くこなす行為が「書く」と「話す」です。したがって、できるだけ多くアウトプットすることが、インプットの効率性を高める王道である、ということになります。(p.87)

したがって、ただ馬鹿みたいに読んでいる僕は、みたいではなくただの馬鹿である、ということになります。

才能のある人間はいいけれども、才能がなくて、これから努力していかなければいけない人は、終わったことの余力で食うようなことをすると、決して成長には結びつきません。
[……]
「忙しい人に仕事を頼め」という言い方が、わりとよくされます。優れたノウハウや技術や情報は、「たくさんの種類の仕事をできるだけ多くこなしている人」に必ず集まっていくからです。(pp.131-132)

使えるレファ本 150選 (ちくま新書)

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いろんな分野の参考図書が紹介されている。勉強になるのでオススメ。

*1:ガッキーファイターのこと。ちなみに僕はここのメルマガを購読している