10年間の短い回想

今時点でどんな人がこのブログを読んでいるのかわからないんですが、ちょっとここしばらくのことを振り返りつつ、現状どうなっているか曖昧に説明したいと思います。

大学

大学は苦労して入ったので、合格したときは嬉しかったです。最初の頃は気取ってましたが、そのうちそんな気力もなくなって、割と普通の学生だったと思います。

中島義道アメリカ文学

大学では講義を熱心に聴くというより、本ばっかり読んでました。一番多いときは家に千冊くらい本がありました。今では300冊くらいに減りました。中でも、異常にハマったのがよしみっちゃんこと中島義道です。現実に出会ったらどうか知りませんが、共感しながら著作をひたすらに読み続けていました。
一方で専門にしてしまったアメリカ文学もたくさん読みました。ポール・オースターとか、メルヴィルとか…。でもなぜかいちばん面白かったのはカフカですね。アメリカ文学じゃないですが。面白かったので、無理矢理卒論にねじ込みました*1。卒業もさせてもらえました…。

就職活動

今思うと、非常に世間を舐め腐った就職活動をしていました。IT業界を中心に受け続け、あやしくないSIerに拾ってもらいました。この就職活動が意外と堪えたらしく、内定後長いこと頭痛に悩まされました。これ以降、頭痛とは付き合いが続くことになります。
それにしてもなぜ東京、そしてIT業界を受けたのか、今となっては無謀だとしか思えません。当時考えた理屈は思い出せるものの、ずいぶん安易な考え方だったなあと。

社会人あるいは会社人として

新卒で入社した会社には、およそ5年強勤務しました。最低5年、と思っていたので、本当にそのギリギリしか自分の忍耐は続かなかったということになります。

仕事の選び方

会社ではいろいろと経験できました。なるほど優秀というのは、

  1. 手を動かすのが早い
  2. 周囲を動かすのがうまい
  3. 自分の身を守る術を知っている
  4. 他人に深入りしない(おまけ)

ということなのかもしれないなあと思いつつ、自分にはほとんど当てはまる要素がないなあと思ったので、いずれは辞めようとかなり早い段階で決めていました。「やりたいことをやる」でもなく、「できることをやる」でもなく、「できないことはやらない」で行こうと決めました。
変に有名大学を出たことと、それっぽい言葉が使えることのせいで、実際にできることとできそうに見えることとの間に乖離が生じてしまいました。成長願望の強い人はこの状況を前向きに捉えられるのかもしれませんが、僕のように体力気力ともに乏しい人間は、実際にできることを着実にやるというスタンスで行くしかないなあと、ある時点で思い至りました。

結婚

会社員3年目、ひっそり結婚しました。ひっそりというのは、結婚式やパーティーなんかのイベントを行わなかったからです。両親には少し申し訳ないなと思いますが、結果的にはこれでよかったなと。披露宴なんてやっていたら、抱えなくていいストレスを勝手に背負い込むことになっていたでしょう。
もう結婚して4年目になりますが、結婚して本当によかったです。結婚についてたまに相談されますが、いつも答えは同じで、「迷ったら結婚しない方がいいと思う」と言っています。まあ、当人同士で決めることなので、他人が何か言えるわけもないんですが。

北海道に戻る

いろいろとゴニョゴニョした末、北海道に戻ることにしました。

Uターン転職

どうしても北海道で働きたいと思い転職活動を始めるも、思い通りに行かない部分もありつつ、最後はなんとか地元の市内で決めることができました。久々に「これは…まずいぞ」という心理状態を味わいながらの数ヶ月間でしたが、そもそも動物というのは危機感の中で生きていくものかもしれないなあとも思います。

雪国の暮らし

地元に帰ってきたので当たり前なんですが、「ああ、帰ってきたなあ」と毎日のように思います。あっという間だったと回想することもできる一方で、10年近く関東で暮らしていたという時間の蓄積は、やはり少なくない影響があったようです。少しずつ、過去の自分と今の自分を線で結び直す作業が行われているような気がします。
これもやはり当たり前なのかもしれませんが、自分が生まれた環境からは多大な、回避することのほとんど不可能な影響を受けるんだなと思います。高校の頃の自分にはそういうものに抗いたい気持ちがあったのか、あまり深く考えず東京に出て行きましたが、東京で暮らし始めてすぐ、「北海道に帰りたい」と思い、そしてその思いは東京で何年暮らしても変化することはないままでした。

終わりに

大学卒業してもうすぐちょうど10年になります。この10年、自分なりにずいぶんいろんなことがありました。少々自分の能力を超えるような出来事も多くあったように思います。しばらくは自分の中に今あるものを見つめなおし、あるいは静かに葬り、そして周りの物ごとをひとつずつ把握するための作業を始めるつもりです。

*1:『断食芸人』という作品を扱いました。